速いGemma、正確なQwen──ローカルLLM2強を業務文書で使い倒して見えた”使い分け”

社内にローカルLLMを入れてはみたものの、「で、どのモデルを使えばいいの?」と迷っていませんか。

当社のAIワークステーション『GX10』には、Googleの『Gemma 4』とAlibabaの『Qwen 3.6』が同居しています。性格のかなり違うこの2モデルを、同じマシン・同じ条件で、業務でいちばん効く3つの軸――日本語・PDF文書認識・速度――で測ってみました。

カタログspec比べではなく、実際に動かして出た数字です。「ローカルで使うなら結局どっち?」の答え合わせにどうぞ。

比較の土俵──同じGX10で、同じ条件で測った

比べたのは gemma4:12b(軽量・約11GB)と qwen3.6:35b(高精度・約29GB)。どちらも日本語・画像(PDF)に対応するモデルです。文書はこちらで用意した「正解つきのテスト文書」を使い、出力を正解と照合して採点しました。

日本語の実力──どちらも自然、でも“クセ”が違う

結論から言うと、普段使いの日本語はどちらも十分に自然です。ただし性格が分かれます。

  • Gemma 4:軽快で読みやすい文章。ただし長文や固有名詞で“もっともらしく言い換える”クセがあり、たとえば社名や「税込/税抜」がさらっと書き換わることがありました。流暢なだけに気づきにくいのが要注意ポイントです。
  • Qwen 3.6:固有名詞や数字に強く、逐語の正確性が高い。お堅い文書ほど安心感があります。

ここが分かれ目: 速くて気持ちいいのがGemma、几帳面で正確なのがQwen。重要な文書ほどQwen、量をさばくならGemmaが向きます。

PDF文書認識──“正確さのQwen、速さのGemma”

請求書・帳票・集計表などを画像として読ませ、テキスト化の精度を比べました。

文書タイプ Gemma 4(12b) Qwen 3.6(35b)
請求書(金額・項目) 86% 92%
集計表(数値の表) 約99% 約99%
縦書き文書 33%(不安定) 100%
1ページの処理時間 約15秒 約6分

数字や表はどちらも優秀。差が出たのは“難所”です。正確性はQwenが上(とくに縦書きはGemmaがほぼ読めず、Qwenは完璧)。一方で速度はGemmaが桁違いに速く、Qwenは1ページ6分と、大量処理には向きません。

速度とメモリ──“軽さ”のGemma、“質”のQwen

面白いことに、速度は使う場面で逆転します。

  • 文章の生成:実はQwenの方が速い(内部が“専門家を切り替えるMoE方式”のため、サイズの割に軽快)。
  • 画像(PDF)の処理Gemmaが圧勝(前述のとおり15秒 vs 6分)。
  • メモリ:Gemmaは約11GB、Qwenは約29GB。軽さ・同時起動のしやすさはGemma

結局どっち?──用途で使い分けるのが正解

こんな時は おすすめ
チャット・要約・大量処理・とにかく速く Gemma 4(12b)
契約書・縦書き・固有名詞・正確さ最優先 Qwen 3.6(35b)
両取り Gemmaで一次処理 → 重要箇所だけQwenで確認

まとめ──“1つに絞らない”のがローカルの強み

クラウドのAPIと違い、ローカルなら複数モデルを入れて使い分けるのも自由です。今回の結論はシンプルでした。

  • 速さ・気軽さのGemma 4
  • 正確さ・几帳面さのQwen 3.6
  • 数字・表はどちらも実用レベル。ただし重要文書は最終確認を

『GX10』はメモリに余裕があるので、両方入れて「今日の仕事に合う方」を選ぶのがいちばん賢い使い方です。まずは同じ資料を2つのモデルに読ませて、あなたの業務での“相性”を確かめてみてください。

次回は「ローカルで作るインタラクティブ音声AI」をお届け予定です。